小泉純一郎政権下で進められた「三位一体の改革」(①国庫補助負担金改革、②税源移譲、③地方交付税の見直しを一体的に行う改革)の一環として、「義務教育国庫負担金」の制度廃止・縮減が①国庫補助負担金改革の主要な対象項目として検討され始めたことを受け、義務教育は基本的なライフラインであり、同制度の廃止や同負担金の縮減は義務教育の地域格差をもたらし、憲法が保障する教育の機会均等の妨げになるとの観点から、義務教育を中心に学校教育への国の関与の在り方について検討する場として2004年に発足し、2014年度までの11年間に10の提言を行った。同委員会の提言については、2016年3月現在でもインターネット検索すると膨大な件数ヒットするが、最終年度の2014年度をもってWebサイトが閉鎖され、その全容(提言・参考資料)を見ることはできなくなっている。そこで、本科研プロジェクトの代表・藤田は同委員会の委員を務めたこと、及び、本科研プロジェクトの研究内容との関連も深いことから、ここに全10回の提言書と参考資料(調査結果の概要)を掲載し、関心のある方々への参考に供するものである。
◆2004年度(発足時)の委員 |
委員長 |
佐和 隆光 |
京都大学経済研究所所長 |
委 員 |
市川 昭午 |
国立大学財務・経営センター名誉教授 |
委 員 |
尾木 直樹 |
教育評論家・法政大学教授 |
委 員 |
小野田 誓 |
社団法人日本PTA全国協議会常務理事 |
委 員 |
糟谷 正彦 |
住友生命顧問 |
委 員 |
斎藤 貴男 |
ジャーナリスト |
委 員 |
野口 克海 |
園田学園女子大学教授 |
委 員 |
樋口 恵子 |
評論家・東京家政大学名誉教授 |
委 員 |
藤田 英典 |
国際基督教大学教授 |
委 員 |
渡邉 光雄 |
福島県原町市教育長 |
◆2014年度(最終年度)の委員 |
委員長 |
佐和 隆光 |
滋賀大学学長 |
委 員 |
市川 昭午 |
国立大学財務センター名誉教授 |
委 員 |
小野田 誓 |
元日本PTA全国協議会相談役 |
委 員 |
片山 善博 |
慶応義塾大学教授 |
委 員 |
斎藤 貴男 |
ジャーナリスト |
委 員 |
佐藤 学 |
学習院大学教授 |
委 員 |
堤 未果 |
ジャーナリスト |
委 員 |
樋口 恵子 |
評論家・東京家政大学名誉教授 |
委 員 |
藤田 英典 |
共栄大学教育学部長・教授 |
※肩書は当該年度の提言の公開日現在。公務多忙や逝去などにより幾度か退任・補充があった。各年度の委員一覧は各年度の提言書の末尾に掲載されている。 |
◆提言書・参考資料(調査結果)一覧
2004年度(2004年5月) |
提言「義務教育の地域格差は国を滅ぼす!!」 |
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参考資料①「義務教育に関するアンケート調査」(市民版) |
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参考資料②「義務教育費国庫負担制度の維持に係るアンケート調査」(都道府県・市町村版) |
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2005年度(2005年9月) |
提言「義務教育は将来への投資!!
~ナショナルスタンダードを維持しつつ、地域の特色を取り入れた教育を~」 |
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参考資料:「義務教育に関するアンケート調査」(教育長アンケート、市区町村長アンケート) |
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2006年度(2006年9月) |
提言「義務教育は国民一人ひとりのライフラインであり、将来への投資である!!」 |
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参考資料:「義務教育に関する国民アンケート調査」 |
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2007年度(2007年11月) |
提言「教育格差の解消と教育の質向上を目指して」 |
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参考資料:「義務教育に関する教育長アンケート調査」 |
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2008年度(2008年11月) |
提言「教育の質向上を目指して
~子どもがのびのびと学び、教師がいきいきと教える教育現場の実現を~」 |
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参考資料:「義務教育に関する教員アンケート調査」 |
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2009年度(2010年1月) |
提言「未来を担う子どもたちのために ~今進めるべき教育政策~」 |
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参考資料①「教育委員会に関するアンケート調査」(教育長版) |
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参考資料②「教育委員会に関するアンケート調査」(教員版) |
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2011年度(2011年2月) |
提言「地域の核としての学校づくりを ~学校と地域の有機的な連携に向け~」 |
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参考資料:「地域の教育に関する教育長・市区町村長アンケート調査(2010)」 |
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2012年度(2013年2月) |
提言「今、教育委員会はどうあるべきか
~子ども・保護者・地域が信頼できる教育行政をめざして~」 |
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参考資料:「地域の教育に関する住民アンケート調査(2011)」 |
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2013年度(2014年3月) |
提言「社会全体で支える教育を!」 |
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参考資料:「子どもの教育について」(小学生保護者アンケート調査) |
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2014年度(2015年4月) |
提言「教員の誇りが子どもの未来を開く!」 |
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参考資料:「教員アンケート調査」 |
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◆図書
日本の教育を考える10人委員会編『今、義務教育が危ない!―国民のライフラインを守ろう』
ぎょうせい(2007/12発売)
目次
義務教育は将来への投資である
教育の機会均等が奪われる
学校の危機と再生
家庭と学校、親と教師の信頼関係
家庭教育、地域と学校の在り方
「いじめ問題」は教育の原点である
教職員と学校を取り巻く状況―義務教育の崩壊を招く環境変化と要因
画一的な教育が義務教育を崩壊させる
教育のフィールドから地方自治制度を点検する
国庫負担の削減が義務教育を崩壊させる
誰のための教育改革か―教育の管理的・市場的統制と格差社会の再生産